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アトリ 冬鳥

アトリの生態・特徴~鳴き声、さえずり、食性、身体の色は?

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アトリは冬から春にかけて日本の各所で観測される渡り鳥です。

万葉の時代には「あとり」、室町、安土桃山時代には「あっとり」と呼ばれ、日本では非常に古くから人々に馴染みがある野鳥の1種でもあります。

この名前の由来は、大群をつくり移動をすることから、集団の鳥という意味で「集鳥(あつとり)」と呼ばれていたものが訛ってできた名称だと言われています。

近年では、毎年冬から春にかけて都市部の公園でも観測されています。
それでは、アトリについて詳しくみていきましょう。

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アトリの生態・特徴


アトリは鳥網スズメ目アトリ科アトリ属に分類され、和名ではアトリ(獦子鳥、花鶏)、学名はFringilla montifringilla、英名ではBramblingといいます。

通年、日本でみられる留鳥のスズメとよく似ていますが、毎年10月頃シベリア方面から日本に渡来する渡り鳥です。
昼行性で昼は小規模な群れで行動をしますが、夜は集団で休息します。

群れの数は年によって著しく変動しますが、数百羽から時には百万羽以上の大群になることもあり、これだけの大きな群れで飛来する姿は壮観以外の何物でもありません。

日本で飛来する数の年変動が大きいのは、北方の森林の餌の量に関係しているといわれています。

夏にはユーラシア大陸の西側スカンジナビア半島から東側のカムチャッカ半島に至るタイガ地帯で、大木のあるシラカバ林の太い枝の上に針葉樹の枝を被せた椀型の巣つくり、5~7個の卵を産みます。

そして、秋になると南下を始め、ヨーロッパ中央部からイベリア半島、北アフリカから中東を経て、インド北部、ロシア南東部、東アジアに渡る広範囲で越冬します。

日本では本州を中心に、北海道から沖縄まで日本列島各地で観測されています。
5月の初めには日本からまた繁殖地へと戻って行きます。

戦後の食料難の日本ではアトリを食用にしていた時期があり、毎冬100万羽がかすみ網猟で捕獲されていました。
戦後、法律でかすみ網猟が禁止されてからメジロやツグミと同様に狩漁鳥から除かれました。

アトリの分布、どこで見られる?


日本には冬に渡り鳥として渡来し、日本列島各地の山地や平地に生息します。

以前は、日本海側から日本に入り、山間部の森林や農耕地を中心に観測されていましたが、近年では都市部の公園の街路樹でも数羽から十数羽の群れが頻繁に観察されています。

2008年、2009年の冬には岐阜県で70万羽もの大群が記録され、また同時期に東京の市街地の公園でも数10羽の群れが観測され、2016年2月、栃木県鹿沼市では10万羽から20万羽もの大群が飛来したと発表されました。

鹿沼市には農地があり、この年9月の台風の影響で一帯の稲刈りが行われず、放置されていた大量の稲を食料とすることで、1ヶ月近く留まっていたそうです。

鳴き声・さえずり

さえずりは、「ビィー」、「ギュイーン」と震えるようなさえずりをし、カワラヒワに似ていて、ゆるく震える声です。

地鳴きは「キョッ、キョッ、キョッ」、「ギョッ、ギョッ、ギョッ」と高い声を出し、イスカの声とよく似ています。
飛びながらよく声を出し、大群で鳴き交わしていると、とても大きな音量です。

食性


秋から冬季にかけて、群れをつくって木の実を食べます。

ケヤキ、ナナカマド、ズミ、カエデ類の木の実やコメツガ、モミなどの針葉樹の種子を好んで食べます。
都心でも街路樹の実を食べる姿が観測されています。

現在でも秋から冬にかけて農耕地で観測されていますが、好物である穀物を群集で食べようとし、収穫物に害を与えていたことから、戦前は害鳥とされていた時期もありました。
北方に戻る春先にはサクラなどの花芽や新芽、繁殖期である夏には昆虫類、節足動物を主食とします。

大きさ

雄雌共に全長約16cmで、体重は23g程です。
翼を広げると25cm程になります。

全長14cm程のスズメと比べると一回り大きく、全体的にふっくらとした体つきです。
尾羽の先は魚の尾のようなM字尾で、飛んだ時によく観ることができます。

色合い

黒に近い濃色(焦茶から紺色)、白、橙が特徴的です。
喉から胸にかけては橙色、頭部から背中は黒、腹部は白です。

繁殖期になる夏羽は彩度が強くなり、橙色がより鮮やかに、頭部の黒味も強くなります。
特に、春先以降のオスの色彩が華やかで、メスとの区別がはっきりとします。

オスの頭部はメスはよりも黒が強く、春先には頭の黒い夏羽のオスも多くみられます。

メスは全体的に色が淡く、頭部は灰色味を帯びる。飛び立つ時に、翼にある2条の白帯と腰回りの白が目立ちます。

スズメやカワラヒラなど類似している鳥との区別も喉から胸周りに橙色があるかどうかですぐに分かります。

まとめ

アトリは群れで行動をし、都市部での観測も増えてきていることから、冬から春にかけて身近に観測できる野鳥です。

冬の枯れ木に群生してとまる姿が花が咲いているように見えることから、漢字では「花鶏」という美しい名を持っています。

江戸時代には、京都の嵯峨野に大群のアトリが飛来し、話題となったという記録が残っており、アトリを見るために近くのお茶屋に人々が訪れたそうです。

日本では冬から春にかけて色の変化を見ることができ、同時に季節の移り変わりも感じられます。

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